茶飲みおばさんの 茶のみ話 =パートV=
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'' こんなに違う、日本茶の個性 '' お好みは、どっち?
(比べてみると、よーくわかります)
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1. まず初めは、蒸し方の違いについて:
日本茶の製法は、釜炒りもありますが、ほとんどが、「蒸し製」です。
(紅茶は、発酵製)
(A) 若蒸し(普通蒸し)煎茶:
伝統製法である若蒸しは、標準蒸し時間が、30秒と短い。
そのため、うつくしい針状の葉形が残り、しっかりとした風味と香りがあります。
淹れるときは、すこし湯をさまし、時間をかけて甘みと香りを楽しんでください。
(B) 深蒸し煎茶:
60秒以上と長く蒸す製法です。熱で茶葉がこわれ、粉が多くなる短所があります。淹れるとき、時間がかからず、お手軽です。目づまりしない専用の急須で、さっと淹れましょう。香りがやや少ないですが、まろやかな味と、トロリとした明るいミドリ色が身上です。
2. つぎに、「玉露」と「煎茶」の違い、わかりますか?
女性的&男性的なのは、どちらのお茶でしょうか。
(A) 玉露:
新芽が伸びだした頃に、茶園にヨシズ棚などを作り、覆いをかけて直射日光を遮断して栽培します。肥料や管理に配慮して、深窓のお姫さまのように大切に、大切に育てます。アミノ酸の含有量が多く、タンニン等の渋み成分は少なく、緑色があざやかで、特有の甘みと深い香りがあります。この独特の旨みを充分に引き出すために、湯は、あかちゃんのほっぺた程度、の低い温度で淹れます。汲み置きした水でもいいが、湯冷ましをして、湯気がかすかに上がる50度くらいの温度で、150秒ほど待って、じっくり抽出してください。茶葉は贅沢にふんだんに用い、湯はヒタヒタくらいでいいでしょう。なにしろ、やわやわのお姫さまですから、ハハーっと、ひれ伏すくらい、えも言われぬ深い味わいです。柔らかな美味しさ、ほんのりした香りを、ひとは、女性的とたとえるのでしょうか。
(B) 煎茶:
一般的に広く飲まれている日本茶の基本のお茶です。
玉露と違い、摘むまでに燦々たる日光を取り込んで育てます。太陽からの滋養分を充分に含んだ葉は、葉肉が厚く濃緑色、旨みと香りがあり、ビタミン、カテキンなど体によい成分が豊富です。淹れ方によって(熱い湯では)タンニンなど渋み成分が強く出て、慣れない子どもには嫌われますが「湯冷まし」という演出が、煎茶のほのかな甘みを引き出し、苦み渋みを抑えるのです。さっぱりとした爽やかな味と香りは、大人の茶・煎茶の醍醐味と言えましょう。これが男性的といわれる所以でしょうか。
3.さて、最後に、「番茶」と「焙茶」について、です。
春、新芽が伸びて摘む(=新茶)。そしてまた伸びて、また刈る・・・。これを繰り返し、三番目、四番目くらいに出る茶葉のことを、総じて業界用語では「やなぎ」といい、これが「番茶」の原料となるのです。
(A) 番茶:(よろづ園銘柄→宇治やなぎ)
夏から秋口くらいの茶の生葉は、太陽の恵みを一身に受けて、ツヤツヤと、それはそれは、野性的にたくましく育ちます。番茶は、普通にお湯で淹れると甘みは少なく、おお、なんと、がっしりとしてワイルドな味わいでしょう!
では、試しにこれを、お湯でなく水出しにしてごらんなさい。
冷水で3時間ほどおくと、味はまろやか、美しい冷番茶のできあがり! これがポリサッカライトという成分のはたらきで、血糖値の降下を促すというのですから、驚きます。頼もしきかな"番茶"!です。
(B)焙茶・ほうじ番茶:(よろづ園銘柄→やどり木・ローストテイ)
上記(A)生番茶を、強火で焙じます。すると「焙じ番茶」になります。香ばしさが特徴です。緑葉を焙じると、カフェインやタンニンが緩和されて、胃にやさしく、お子さま、病中・病後の方にも、安心して飲んでいただけるのです。よろづ園のローストテイ、やどり木は、第一級の薫香を放ちます。どうぞお試しください。
♪ 当地・仙台周辺では、多くの人々が「焙じ番茶」のことを、省略して「番茶」と呼んでいるので、あえて、ここでは「生番茶」と並べて、違いをお話してみました。
さあ、それでは、どちらの「番茶」も、熱いお湯でサッと淹れて、召し上がれ !
さて、一服いたしましょうか ! お好みのお茶は、どちらでしょう?
現代人は、忙しい・・・しかし、こころはゆとりを失わずにいたいものです。ゆっくりと、 お茶を味わう時間をもちたいですね。昔から「朝茶は、その日の難を逃がる・・・」
「朝茶は、二杯」といいまして、そそくさと駆け出すのは禁物、と教わりました。まさに、スローフードの考えに通じますね。
さあ、どうぞ !
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